「恐れることはない。ただ信じなさい。」
マルコによる福音書5章36節
太鼓橋をご存知でしょうか?幼稚園には太鼓橋と呼ばれる雲梯(うんてい)があります。子どもたちは、太鼓橋にぶら下がるのでは無く、太鼓橋を梯子のように上り、方向転換をして下りていきます。わたしは運動が苦手なので、絶対にやりたいとは思わないのですけれど、皆さんはどうでしょう?
ある時、年中組の子どもたちが、太鼓橋に取り組んでいました。暑い日だったので、先生は魔法を使って、太鼓橋を教室の前に運んできたそうです。クラスの外では、先生と子どもが一対一で太鼓橋に取り組み、残った友だちは部屋の中から応援していました。
1日が終わった時、先生が嬉しそうに報告してくれました。その日、出席していた子どもたち全員が渡ったと。しかも、皆、手を挙げて立候補して。
わたしは自分でも絶対に手を挙げない自信があるので、どうして子どもたち全員渡れたのか不思議で、先生に聞いてみたところ、こう教えてくれました。
その日は合同礼拝があり、イエスさまがいつも一緒にいるから大丈夫!というお話しを聞いたそうです。それで、「イエスさまがいつも一緒にいるから大丈夫!だから、今日は一歩前進して、太鼓橋を渡ってみよう」と。
不安に思う子どももいたようです。でも、そんな子どもには、脇の下に手を入れて子どもをしっかりつかんで、「しっかり支えているから大丈夫!」と声をかけたそうです。
先生も、絶対に子どもたちができるとは思っていなかったと思います。でも、先生は子どもを信じて、子どもたちも支えてくれるという先生を信じて、一歩を踏み出しました。
そうやって勇気を出して一歩を踏み出して一人が渡り終えた姿は、渡り終えた子どもはもちろん、見ていた子どもたちにも勇気を与えたのだと思います。
自分にできることに留まり続けるのでなくて、信じて一歩を踏み出してみる。そうやって信じて挑戦する姿は、見ている人にも力を与えてくれます。それに、信じて一歩を踏み出すと、新しい世界が広がってくるのです。信じられる子どもの力は大きいです。
わたしが牧師になったのも、園長になったのも、そうだったなと思います。自分に力があったから、経験があったからなったのではありません。絶対にできないと思っていたけれど、信じて一歩を踏み出したら、こんなに素敵な子どもたちに出会うことができました。自分のできることに留まっていたら、決して知らない世界でした。
数日後、先生がこんなことを言っていました。何の問題もなく渡り終えた子どもたちではなくて、ちょっと苦手だったけれど、勇気を出して渡ることができた子どもたちの方が、そのあと何度も繰り返し挑戦していると。信じて一歩を踏み出した子どもたち。大きな自信につながったようです。
皆さんも、信じて一歩を踏み出してみませんか?
また新しい世界が広がりますよ。